ガラス玉とプリズム越しのセカイ

趣味の天体観望・写真について語ったり、その他気になったこと・面白いと思ったことについて言及します。

姫路城観光+瀬戸内18きっぷ旅(卒業記念一人旅2日目)

はじめに

本記事は以下の記事の続きである。

komariyutaka.hatenablog.jp

学生らしいこと=『時間はあるが金はない』旅行という安直な考えにより、サマポケ聖地巡礼を一応のメインテーマとした旅を展開する。5泊6日の行程のうち、本記事では2日目について触れる。

念のため書いておくが、この旅行は3月の上旬に行われたもので、コロナウイルス感染防止のための外出自粛よりも前の話である。執筆中の現在も体温・血中酸素濃度共に正常、至って健康である。

3日目はこちら

komariyutaka.hatenablog.jp

4~6日目はこちら

komariyutaka.hatenablog.jp

宿を出発する

ダイニングで昨日のお嬢さん方と一緒に朝食を頂く。トーストやサラダといった軽いものだったが、期待以上に美味しかった。ただ、決して旅館やホテルの朝食のような豪勢なものとは違うから、満腹というわけにはいかない。それでも普段1人暮らしの自分にとっては、朝食を用意してもらえるというだけでありがたい。むしろ朝食が簡素な分、観光や移動に使える時間が増えるし、お金の節約にもなる。お金の節約という目的で車中泊やキャンプをしたことがあったが、それらに比べると快適な睡眠を得られるし、宿のオーナーや他の客との会話ができたり、観光地についての情報を得られることもある。自分はあまり社交的ではないけど、過剰に交流を求めてこない所なら、今後もゲストハウスに泊まってもいいかなと思えた。

宿全体は風呂トイレ含めてとても綺麗で、快適に過ごすことができた。一方であらゆる客の対応をしなければならない宿のオーナーは大変だろうなと感じた。宿泊客は日本人よりも外国人の方が多いぐらいだし、ゲストハウスならではの暗黙のルールのようなものに対する理解度も様々。建物のローンだってまだまだあるだろうに、コロナウイルスの影響で客足は減るばかり。旅館やホテル、民泊といった他の宿泊業態、同業者との競争だってある。家族の生活を支えながらゲストハウスの営業を続けていくのは並大抵のことではないだろう。

特に手続きのようなものもなく、宿のオーナーと奥さんに挨拶をして宿を出る。「写真撮りますよ」遠慮するような場面でもないので一眼レフをオーナーに渡して1枚だけ撮って貰う。オーナーのiPhoneでも1枚。
宿を離れて我に返る。普段なら自分の姿を撮ることを自分から依頼することなどあり得ない……ましてや、自然なほほえみを浮かべていることなど……宿の雰囲気に当てられたのだろうか? まさか! いや……楽しんでいる、のか? この旅を。

どうなんだろうか。1泊しただけで、ゲストハウスの何が分かるというんだろう。まだ分からない。自分に合っているのかどうなのか。ただまあ、他人から見たら『それっぽい人』ではないのは確かだ。一人旅にゲストハウス、『意外だねえ』なんて言われるか? おいおい、そうやって、他人の顔色を窺って生きていくのは辞めたんじゃなかったのか?

自然の造形と人工物

自然の造形と人工物
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

複雑な形の雲

複雑な形の雲(一つとして同じ雲は存在しない)
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

カメラを手に姫路城を目指す。ようやくこの旅行で初めての観光だ。空を見上げる。雲の形に美しさを見出した。ファインダーを覗いて、その光景を網膜に投影しながらシャッターを切った。撮影結果が即座にモニター上に映し出される。ファインダーで見た様子と、撮影結果は当然印象が違ってくる。カメラの設定をいじることで、どのような絵作りにするのかをコントロールする。写実的にするのか、被写体からなにを感じ取ったのかを表現すべく、あえて現実とは異なる色使いにするのか。写真を撮る行為は、単なる記録ではなく、表現技法の一つなのだということについ最近思い至ったのだ。すなわち、拙いながらも、試行錯誤をすることを覚えたのだった。

朝の姫路城大天守と鯱

朝の姫路城大天守と鯱
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

姫路城観光

朝食後すぐに宿を出たから、姫路城には9時半ごろに着いてしまった。姫路城は世界遺産だというのに、観光客と思しき人影はほとんどなく閑散としていた。やはりコロナウイルス対策で天守に入れないことが理由だろうか。それとも、”感染国”扱いの日本へ旅行に来る外国人が減っていることだろうか。そんな中、スーツケースを転がしながら歩く自分は客観的に見るとなかなか異質な存在と言えた。

三の丸から望む姫路城大天守【1】

三の丸から望む姫路城大天守【1】
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

天守に入れない代わりに、入場料が普段の半額になっていた。こんなこと一つ取ってみても、ちょっとした異常事態だ。でもポジティブに捉えるなら、旅の記憶をより強く残すことができて、めったにない経験になると言えるだろう。京都は外国人観光客が居なくなって、本来の姿を取り戻しているらしい。人の少ない世界遺産姫路城を見れたのはラッキーだったかもしれない。入場口のコインロッカーにスーツケースを預ける。普段だったら、このコインロッカーも満杯なのだろうか。

西の丸から望む姫路城大天守【2】

西の丸から望む姫路城大天守【2】
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

日本には数多の城が存在するが、その中でも姫路城は別格に美しく、別名『白鷺城』と呼ばれているらしい。なるほど確かに、どの角度から見ても端正な姿をしている。石垣の内側には天守以外にも様々な見どころがあって、天守の方へカメラを向けつつ、それらを見て回った。

軒丸瓦

軒丸瓦
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

ちらほらと他の観光客の姿が見え、中にはS社のフルサイズミラーレス一眼を構えている人もいた。ほう、その構図がいいのか? 自分も真似して撮ってみる。ここは縦構図のほうがいいか?

将軍坂【3】

将軍坂【3】
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

天守の方へと順路を進むと、次第にその威容が明らかになっていく。天守は想像していたよりもさらに大きい。高く反りあがる石垣からは、この城を攻略することの難しさを感じられる。

そびえ立つ大天守

そびえ立つ大天守
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

人との比較

人との比較
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

当然大天守には入れなかったが、本丸からは姫路の街を一望できた。これがなかなか素晴らしい眺めで、一直線に走る道路が姫路駅までを結んでいるのがよく分かった。姫路駅に降り立ったときに姫路城を見た向きとはちょうど反対ということになるから、少し感慨深さを覚えた。

こういった眺望のよい場所では、双眼鏡が一つあると役に立つ。鞄に入れておいたNikon 8x30 EIIで姫路の街並みを眺めた。それで何か大きなことが分かるわけでもないのだが、眺めの良さを増幅して味わうことができる。

本丸から街を見下ろす城主の気分

本丸から街を見下ろす城主の気分【4】
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

今日はとても雲が美しい。城の雄大さを表現するために、あえて大天守の上の方だけを雲を背景にして写してみた。いかにも風通しの良さそうな形の雲で、開放感があるように見えないだろうか。

城と巻雲

城と巻雲
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

これまでに挙げた写真(キャプション右の番号と対応)をどこから撮ったのかという説明図を作ってみた。もし姫路城を訪れることがあれば、参考になるかもしれない。

カメラを向けた方向

カメラを向けた方向

宿のオーナー曰く、春は敷地内に植えられた桜が咲いてとても綺麗なのだそうだ。城の外壁の白さと桜の淡い色合いの掛け合いは、写真映え間違いなしだろう。機会があったらまた行きたい。

再び18きっぷの旅・姫路-岡山

駅のそばにあったフレッシュネスバーガーで手早く腹ごしらえをし、さらに西へと旅を進める。目的地は高松だから、運賃にして3000円程度の行程。18きっぷを使うことによる節約効果が小さいのは少し残念。

フレッシュネスバーガーで昼食

フレッシュネスバーガーで昼食
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL + Kenko AC CLOSE-UP No.4

山陽本線赤穂線 普通 姫路12:05発→播州赤穂12:37着
山陽本線の相生-岡山間と並行して赤穂線という路線が走っているらしい。どちらかが圧倒的に早く着けるというわけでもないようだが、より海岸沿いを走っている赤穂線の方がひょっとすると良い景色に巡り合えるかもしれないと思い、あえて赤穂線を経由することにした。

姫路駅にて

姫路駅にて
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

 

赤穂線 普通 播州赤穂12:38発→岡山14:01着
播州赤穂駅から別の列車に乗り換える。これまでに見たことのない電車だ。いかにもローカル線といった佇まいの国鉄型車両で、2両編成だ。115系1500番台と言うらしい。列車を降りてから気づいたのだが、編成の前後で先頭部分の形状が異なるのだ。運転台を持たない中間車を改造して先頭車に作り替えたのが理由らしい。

播州赤穂駅にて

播州赤穂駅にて
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

岡山駅にて

岡山駅にて
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

実際にはそれほど景色の良いところを通ったわけではなかったし、乗り心地もなかなかに悪かった。だがこういう体験も無計画な旅ならではで、将来この車両に乗れることはもうないかもしれない。そう考えれば悪くないと思えた。
列車を降りた隣のホームには、何やら特急列車らしきものが止まっていた。この型の車両は一昔前までは関東でも多く走っていたやつに違いない(正確には違うのかもしれない)。先頭車両が見える場所まで急いで移動して1枚。特急やくもと言うのか。岡山-出雲市を走っているらしい。
ああそうだ、岡山に来た記念ということで駅名標を撮らねば。さて、折角途中下車し放題の18きっぷを使っていることだし、少し岡山で降りてみようか。宿のチェックイン時間は18時にしたけど、すぐに高松行きの列車に乗ったら早く着き過ぎてしまう。そうならないよう、1,2時間ほど駅周辺をぶらつくのが良さそうだ。もし可能だったら、あれば便利だなと思っていたミニ三脚を調達しよう。大きめの三脚は荷物の制約で置いてきてしまったからな。

特急やくも381系

特急やくも381系
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

駅名標:岡山駅

駅名標:岡山駅
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

岡山駅周辺散歩

駅を出ると目の前にビックカメラがあるのを発見。スーツケースを引きながらミニ三脚を求めて入店してみるも目当ての物はなかった。この先本州を出るとこれ以上の規模の量販店はないし、諦めるか……。これがもし友達との旅行だったらと考える。多分、店に寄ること自体しないだろう。許してくれたとしても、貴重な時間を自分だけのために使うのはもったいないと考えるだろうから。

地図を見る。
岡山後楽園という場所があるらしい。そのすぐ近くには岡山城がある。岡山駅前から路面電車に乗っていけば楽に行けそうだ。

路面電車

路面電車
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

路面電車には普段乗らないから、少し緊張しながら乗り込む。改札はなく、車内の運賃箱で精算する。レールの上を走っているのに、すぐそばを車が走っている。なるほど、これはバスのようなものか。この路面電車はかなり運行本数が多いようで、バスに並ぶ交通手段として町の人に親しまれているようだった。
『城下』駅で降り、地図に従って歩く。やはりこの街も姫路と同じで、碁盤の目のような形をしている。城のある町に共通の特徴なのかもしれない。
道端に止めてあったスーパーカブ、あれは自分のと同じものではないか? カメラを構える。
面白い形をした建物がある。岡山シンフォニーホールと言うらしい。ファインダーを覗く。
公園の中を歩く。小さな広場がある。何かの画像素材に使えるかもしれない。シャッターを切る。
梅の木だろうか、雀が梢に集っている。構図と露出とピントに悩む。

同志スーパーカブ

同志スーパーカブ
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

岡山シンフォニーホール

岡山シンフォニーホール
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

小さな広場

小さな広場
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

梢に集う雀

梢に集う雀
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

公園を抜けると、右手に岡山城、正面に大きな橋が見えてきた。この橋を渡った先に岡山後楽園があるらしい。岡山城は思っていたよりも小さい。日本にある城の中では立派な方なのかもしれないが、姫路城を見た後ではどうしても比較してしまうというもの。もちろん、城は大きさで比べてどうこう、というものではないだろう。すぐにわかったのは、外壁の色が違うことだ。単に色が違うというのではなく、この城の成り立ちと歴史が深くかかわっているに違いない。中に入ってみようかと思ったが、あまり時間もないし、スーツケースが邪魔になるだろう。外観を見ただけで今回は良しということにした。

岡山城

岡山城
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

さらに18きっぷの旅・岡山-高松

瀬戸大橋を渡って高松へ向かう快速列車、マリンライナー号は30分に1本程度の本数で走っているようだった。列車が来るのを待つ間も、あたりを少し見まわすだけで多くの発見がある。一人旅だからといって、こうした暇な時間にふと寂しさを感じるようなことはない。誰かと一緒の旅行であればこの時間は会話をするのに費やされるだろうけど、一人旅では、目の前に広がる景色と手の中にあるカメラさえあれば、それが話し相手となる。
例えば岡山駅の5・6・7・8番線の四つの乗り場は一塊のプラットホーム上にあることだ。最初にホーム上の案内看板を見たときは混乱したが、どうやら6・7番線は行き止まりになっているらしい。このような構造が成り立つのは、列車の長さが比較的短いことによるのだろう、関東ではなかなか見られない光景だった。

一つのホームに四つの乗り場

一つのホームに四つの乗り場
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

岡山駅構内図

岡山駅構内図
https://www.jreast.co.jp/estation/stations/okayama.html

8番線に停車していたのは、瀬戸大橋を渡って松山まで行く特急しおかぜ。その向こうに見える朱色の列車は……津山線らしい。特に鉄道好きを自称するつもりはないが、旅先で普段目にしない列車を見れば興味も向くというもの。地元の人にとってはこれが日常で当たり前の光景なのだろうけど。

特急しおかぜと津山線普通列車

特急しおかぜと津山線普通列車
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

瀬戸大橋線 快速マリンライナー43号 岡山15:42→高松16:37
列車に乗り込む。平日の16時台だからだろうか、乗客の数は少なかった。それでも通勤や通学と思われる人がちらほらと居て、毎日この電車に乗って海を渡っているのかなと想像した。ところで、このマリンライナーにはグリーン車が存在する。青春18きっぷは自由席グリーン車にグリーン券料金を支払うことで乗れるが、マリンライナーグリーン車は指定席なのでその対象外らしい。なお普通列車の自由席グリーン車は関東近郊にしか存在しない。ただグリーン車に乗ったところで着く時間が早くなるわけではないし、座席は元々快適なクロスシートなのであまりグリーン車に乗るメリットは薄いだろう。

途中の児島駅に到着する。ここが本州最後の駅だ。車窓からホームの様子を窺うと、屋根を支える柱やエレベーターの外装が紺色に装飾されていた。表面の細かい模様はまるで布地か何かのようだ……何だろうか? 疑問はすぐに氷解した。この街はジーンズの街なのだそうだ。

瀬戸大橋へ入る。線路は橋の中を通っていた。橋の上部は高速道路が走っていて、その下を電車で走る格好になる。車窓から見える景色は、ひっきりなしに橋の構造部材が目の前を横切るような状態。開放感はないものの、眼下の地形が目まぐるしく変わっていく様は見ていて飽きることはない。

すぐ近くにある小さな島が、砂浜で足元の陸地とつながっている。これは江の島のような陸繋島の一種ではないだろうか。潮の状態によっては、陸地と切り離されてしまうこともあるのかもしれない。(手前の陸地が櫃石島〈ひついしじま〉で、この小さな島は歩渡島〈ぶとじま〉という無人島らしい。岡山県側にかなり近いところにあるのにも関わらず、所属は香川県だそうだ。両県の県境を決めた経緯とかをちょっと調べてみたところ、なかなか奥深くて面白そうだった)

砂浜でつながる無人島

砂浜でつながる無人
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

少し大きな島の上を通る(これは与島だ。高速道路のPAがある)。大きな駐車場と、大きな太陽光発電設備。妙な形に抉り取られた地形。遠くを見渡せば、大小数多くの島があり、本州の陸地が見える。

与島

与島
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

さらに進むと次第に眼下に広がる陸地が広くなってくる。もう既に四国の陸地に入ったのかな? 特に列車内のアナウンスなどはない。観光客向けの特急列車ではなく、生活の足としての快速列車だからだ。毎日「四国へ入りました」「本州へ入りました」だなんてアナウンスされたら、通勤通学客はたまったものではないだろう。
化学プラントのようなものや、造船所と思われる施設がある。そして遠くには端正な形の山が見える。あれは飯野山、讃岐富士というやつだろうか。丸亀製麺の店内に掛けられていた大きな写真で見たことがあるぞ。

化学プラント

化学プラント
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

川崎重工の造船所

川崎重工の造船所
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

飯野山(讃岐富士)

飯野山(讃岐富士)
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

瀬戸大橋を抜け、高架式の線路を下っていく。完全に四国の地を踏んだと言えそうだ。いよいよか。ようやく、長かった往路が終わりに近づく。本当に遠いところまで来てしまった。初めての本格的な一人旅、やってみれば案外簡単にできるものだ。
終点の高松駅に降り立つ。大きな駅だ。全てのホームが行き止まりになっている。ここまで乗ってきたマリンライナーと、全く同じマリンライナーの車両がもう一つ。松山へ向かう特急いしづち。琴平へ向かう快速列車と徳島へ向かう特急うずしお。全て目新しいので、全て写真に収める。

ふたつのマリンライナー

ふたつのマリンライナー
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

特急いしづち

特急いしづち
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

琴平方面快速列車と徳島方面特急列車

琴平方面快速列車と徳島方面特急列車
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

駅舎を出る。振り返ると、ガラス張りの駅舎には顔が描かれていた。すぐ近くには高松シンボルタワーが立っていて、展望台になっているらしかった。行ってみようかと思ったのだが、どこから入ればよいのか、よく分からない。間違ってオフィスフロアのある所に入ってしまったら面倒だから、やめておくことにした。

18きっぷ旅の終わり、高松駅外観

18きっぷ旅の終わり、高松駅外観
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

次の宿へ向かう

今日から4泊の間泊まる宿は、ゲストハウス若葉屋というところだ。JR高松駅から少し歩いたところにある高松築港駅琴電高松琴平電気鉄道)に乗り、花園駅で降りる。そこから徒歩5分ほどのところにある。チェックイン時間を考えるとまだ余裕があったから、フェリー乗り場の辺りを少し見てから行くことにした。(なぜ泊まった宿の名前を明記するのか? 自分の顔を宿のオーナーに写真に撮られていないので、宿の人に「あの時泊まった客か」と思われたとしても、不特定多数の人間に個人を特定されるリスクがないからだ。もう一つの理由は、とてもいい宿でぜひ紹介したいと思ったからだ
小さな島との間を行き来する小型のフェリーのための乗り場がいくつもある様子は、さながらターミナル駅のバス乗り場のようだった。曇天の夕方、3月の肌寒さ、眼前に広がる海水、閑散とした港。孤独だが、不思議と寂しくはなかった。
どれがどこに行くのかはよく分からないけど、"OLIVE LINE"と書かれた少し大きめの船は小豆島に行くのかな。小さい船は小さな島に行くのだろうか。あの乗り場には女木・男木島行と書いてある。これが、今回の旅の最大の目的地に行く船の乗り場だ。もちろん今日は行けないから、明日かそれとももっと先の日にするか。天気を見て決めたいし、他に何を観光するかも重要だ。とにかく、後で宿の主人にでも相談することにしよう。

寒空のOLIVE LINE

寒空のOLIVE LINE
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

フェリー乗り場から近いところに、高松築港駅はあった。JRの駅と比べれば小さな駅だ。目指す花園駅は、琴電長尾線に乗って3駅行ったところにあるようだ。IC乗車券も利用できるようだったが、手持ちのPASMOが使えるとは限らない。勝手が分からないから、とりあえず切符を買うことにした。

琴電・高松築港駅

琴電高松築港駅
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

正しい運賃の切符を購入してみると、驚いたことにJRの切符のように裏が黒くないし、薄い紙でできている。つまり、磁気乗車券ではないということか。ではどうやって改札を通るんだ? ハラハラしながら電車が来るのを待つ……まあ、他の乗客の真似をすればいいか。ここは日本なのだし、分からなかったら駅員に聞けばいい。
そして電車が到着する。電車を降りた乗客のほとんどはICカードを自動改札機にタッチしていく。これは東京で見慣れた光景だ。一方、有人改札の方を通る乗客も少しいた。なるほど、きっぷで乗る人は有人改札を通ればいいのか。確かに改札口には、『自動改札機はICカード専用です』と書いてあった。単なる紙の切符と有人改札の時代が磁気乗車券と自動改札になるのを待たずに、現代的なIC乗車券が導入されたのだろうか。
駅は全体的にこじんまりとしていて、電車は一昔前のものといった感じ。ロゴマークに付された『ことでん』の字体は可愛さがある。高松の市街地を中心として走る、香川県唯一の私鉄。地元に密着した交通網として親しまれているんだろうな、なんて勝手に想像をめぐらせた。

高松築港駅構内

高松築港駅構内
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

鋏の入ったただの紙の切符

鋏の入ったただの紙の切符(切符というのは切るから切符なのだな)
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

琴電長尾線、地元に寄り沿う?

琴電長尾線、地元に寄り沿う?
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

目的の花園駅は、無人駅だった。だったら、どうやって改札を行うのだろう? 同じ駅で降りた他の乗客はみな、ICカードを小さな専用の機械にタッチして去っていく。人間でなければ処理できない、この白い紙の切符はどうするのか?
戸惑っていると、電車から車掌が降りてきて手を突き出してきた。そのまま私の手の中にある切符を奪い去る。ああ、そういうことか。
駅を出てしばらく歩くと、踏切があった。線路はそのまま先ほどの花園駅まで続いているのが分かる。レンズのズームリングを回して、遠くに見える駅を大きく引き寄せた。

住宅街の中の小さな駅

住宅街の中の小さな駅
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

そんなことをやっていると、行くべき方向とは逆に歩いてしまっていた。本来は踏切を渡る必要などなかったのだ。来た道を引き返し、地図をよく見て歩く。大きな通り沿いに歩いていけばいいから、難しくはない。地味な店構えの中華料理屋がある。橋を渡る。派手な店構えのうどん屋がある。細い道へ入る。小さな神社がある。姫路に続いて、またしても閑静な住宅街を歩くことになった。
小さな看板がある。あれだ。住宅街に溶け込みつつも、適度な"宿"感を醸し出している。姫路で泊まったところに比べると、和風な外観だった。ここが、これから4泊の間お世話になる宿か。宿のオーナーや他の宿泊客はどんな人なんだろう。個室を予約しておいたし、落ち着けるといいんだけど。
緊張感はあまりなかった。ゲストハウスに泊まるのは初めてではなくなったし、一人旅自体の経験値も増えたということだろう。

これから4泊お世話になる宿だ

これから4泊お世話になる宿だ
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR

戸を開けると、誰もいない。壁に呼び鈴がある。これを押せばいいのかな。
すぐに人当たりの良さそうなオーナーが奥の方から出てくる。まずは書類への記入、それから宿泊料の精算。その後、温かいお茶を頂きながら観光スポットの案内などを受けた。

宿泊目的について>あ、観光ですね。学生最後の旅行ということで(ビジネス目的で使う人もいるのだろうか?)。社会人になったら、まとまった時間は取れないからね、なんて言われる。全くその通りだと思うし、だからこそこの旅を決行したのだ。

香川は初めてか>四国自体が初めてで。あまり観光の計画も立ててなくて。まあ、ちょっと島の方にでも行って、後は景色の良いところと金刀比羅宮に行ければと。

島と言うと具体的には? 直島とかですか?>女木島とか男木島ですかね、高松からしか行けないみたいですし。とあるゲームの舞台になったらしくて、それで行ってみようと思ったんです。ひょっとするとサマポケ聖地巡礼のために泊まった客が過去にいたかもしれないと思ってそう言ってみたものの、特にご存じではなかったようだ。いたとしても、オーナーにはそのことを話してはいないのだろうな。(直島も聖地ではあるけど、コロナウイルスの影響で美術館の類は閉まっているらしいし、直島は岡山からでも行けるから今回の旅行では行かないことにした)

写真を撮るのが趣味なんですと言うと、いくつかそれらしいスポットを紹介してもらった。高松の街を一望できる屋島や、最近人気の絶景スポット『父母ヶ浜』がいいと教わった。バスも運行されてはいるが、土日だけだったりするらしい。レンタカーを借りる予定はなかったけど、そうした場所に行くには車が必要になる。であればいっそ、旅程のうちの1日は車を借りてドライブする日にしてもいいかもしれない。

女木島:女木島|香川の島旅に出かけよう!|島旅|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット
金刀比羅宮金刀比羅宮|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット
男木島:男木島|香川の島旅に出かけよう!|島旅|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット
屋島屋島(山上)|スポット・体験|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット
父母ヶ浜:父母ヶ浜|スポット・体験|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット

夕食をどこで食べるか。周辺の料理店やスーパーを紹介してもらった。丁寧に作られた地図も頂いた。観光案内のパンフレットは本当にたくさんそろっていて、紹介してもらった場所以外にも色々な所の情報があった。もちろん日本語のだけではなく、英語版もだ。ところで、この宿はゲストハウスにしては日本人旅行者が多いらしい。日本人が日本で旅行するときには旅館やホテル、何でも使えるわけだけど、その多くは外国人が泊まるのにはハードルが高い。ゲストハウスなら外国人対応しているから、自然と外国人比率が上がるのは当然のこと。そんな中でも日本人旅行者が多いというのは、旅館やホテルではなく、わざわざこの宿に泊まろうと考える日本人が多いということなんだろう。

予約したのは4畳の個室。布団を敷いた状態でも、狭く感じることはなかった。もちろん普通の宿ではあり得ないような狭さだが、ドミトリー形式の部屋に比べれば、プライベートな空間があるというだけでも精神的に十分落ち着けた。1泊や2泊なら相部屋でもいいが、それ以上となると自分の場合はちょっと疲れてしまうかもしれない。

部屋の中には加湿器があった。感染症対策だろうか? 物干しがあるのはとてもありがたい。館内の設備を見ても、至るところにきめ細かな気配りがされている。例えばシャワー室の照明なんかのスイッチには、ピクトグラムでその役割が示されている。どんな言語の話者であっても理解できるようにという配慮だろう。他にも、風呂場の脱衣所に足元を温める小さな暖房器具が置いてあったことも地味に有難かった。わざわざこの宿に泊まろうと考える日本人が多い、というのもうなずける。

夕食を探して歩く

一般に宿で提供される食事というのは、地元の食材や伝統料理ばかりかというと、多分そうではないだろう。そういったサービスを売りにしている旅館ならそうだろうが、それは安価な宿ではないはず。そして、地元で暮らしている人が毎日そんな食事をしているわけでもあるまい。あえて素泊まりという選択をすることで、旅行費を節約しつつ、その町に住んだ気分になれる。そういう面白さもあるのではないか。

と強がってみたものの、自分は元々一人で飲み屋に繰り出していくような人間ではなく。歩いて商店街の方まで行っても、なかなか入れそうな店が見つからず、結構な距離を歩く羽目になった。高松中央商店街は、アーケードの長さが全国一と言われるほどの広さ。頼みの綱のうどん屋は夕方に店を閉めてしまうところが多く、かといって全国チェーンの店に入るのも何だか気が引ける。

そんなこんなで結局、とんかつとハンバーグが主力メニューの定食屋・たわら屋に入ることになった。手ごろな価格帯と入りやすい店構え。注文したのはデミ味噌ハンバーグセット(770円)。味はなかなか悪くない。頼まなかったが、ドリンクバーがあるらしい。サイゼリヤ並みの安さだ。長居する客も居たりするのだろうか。周囲を見ると案外、ひとりで来ている客も多い。

ジューシーなハンバーグ コスパが光る

ジューシーなハンバーグ コスパが光る
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL + Kenko AC CLOSE-UP No.4

帰り道の途中にあったスーパーで明日の朝食、それから酒とつまみを買い、宿へと戻る。温泉旅館などでは夕食のボリュームが多くてその後に何か食べる気になどならないけど、宿で夕食をとらないことで、一人で酒を飲みお菓子をつまみながら観光の計画を練る、そういうことも可能なのか。友人との旅行でも、あえて素泊まりにするのは有りだろうなと思った。そんな風にして、一人旅2日目は終わった。