日常系ブログって何ですか?~星と写真と時々それ以外~

趣味の天体観望・写真について語ったり、その他気になったこと・面白いと思ったことについて言及します。

GPSユニット O-GPS1の購入とファーストライト

経済を回そう、軍拡だ!

世間は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、経済活動が停滞している。人々が外出を控えれば、購買行動を起こさなくなる。そうなれば、ほとんどすべての業種で売り上げ減、悪くすれば閉店や倒産、事業撤退を余儀なくされる企業が相次ぐ。

それでは日本経済に致命的な影響があるので、政府は国民1人あたり10万円を特別定額給付金として配ることにした。

この10万円は何に使うべきか? 何に使っても良い。モノやサービスを買うことで、それを売る個人事業主や会社の利益になる。それはすなわち他の誰かを助けることになる。なくなってほしくないもの、続いていってほしいものにはしっかりとお金を払わなくては、コロナ禍が明けた後には何も残らないかもしれないではないか。

金は天下の回りものという言葉がある。金銭は常に世の中をめぐっており、貧富は固定する物ではないという意味だ。あえて都合よく解釈を変えるとすると、天下を回るのが金の正しい在り方なのではないだろうか。

 

要するに何が言いたいかと言うと、社会人になったことによる金銭的余裕に加えて給付金と言う臨時収入があるものだから、かねてより欲しいと思っていたPENTAXGPSユニット(O-GPS1)を買う後押しになってしまい……キャッシュレス還元のある6月のうちに買ってしまったというわけだ。

身軽で気軽な星空撮影のために

たった61gの赤道儀

たった61gの赤道儀GPS UNIT O-GPS1』

まずはO-GPS1を買った理由について述べたい。

私のO-GPS1の主な用途は『アストロトレーサー』、すなわちGPSと加速度センサーを利用した簡易赤道儀機能だ。よく間違われることが多いのだが、GPSユニットの名前が『アストロトレーサー』なのではなく、GPSユニットを利用した機能のうちの一つだ。量販店のRICOHロゴを付けた店員ですら間違えることがある(分かりやすくするため意図的にそうしているのかもしれないが)。

原理は単純。日周運動による星の見かけ上の移動を、イメージセンサー自体を動かすことでキャンセルするというもの。一眼レフカメラの中ではPENTAXだけのボディ内手振れ補正機能を応用した画期的な機能だ。何が画期的かということについては公式ページの説明が良くまとまっている。

www.ricoh-imaging.co.jp

こちらのブログも大変参考にさせていただいた。

shironagassu.hatenablog.com

簡単に言えば、三脚にカメラを固定するだけの固定撮影と同等の機材にGPSユニットを追加するだけで、できることの幅が大きく広がるというわけだ。

固定撮影であれば、星をなるべく点像で止めておこうと思ったら、明るいレンズを使うか高感度を使うかしなければならなかった。広角レンズでも点像を保つためには30秒程度の露光時間が限界だからだ。標準レンズ以上の焦点距離では赤道儀が必須だ。

一方、アストロトレーサー機能を使うと広角では3分程度の露光時間でも余裕で点像を維持できるし、標準レンズ以上の焦点距離での撮影も可能になる。本格的な赤道儀なしでの星野写真も視野に入ってくる。露光時間を延ばせる分、1.絞り込んで周辺画質の改善を図る、2.暗いキットレンズでもそこそこの画が撮れる、3.低感度が使えるのでノイズ低減に有効、といったメリットが生まれる。

さらに、加速度センサーと電子コンパスによってカメラの向いている向きを自動で判断しているので、例えば撮影中に構図を変えたくなって三脚ごと移動させたい、なんていう場合にも再度セッティングする必要はない。誤って三脚を蹴ってしまったとしても憂鬱になる必要はないのだ。

ちょっと旅行に行くときに大きく重い赤道儀を持っていくようなことはあり得ないし、かといってそのためにポタ赤を買ったところで、荷物が増えることは同じだ。そこでこのGPSユニット(とできれば三脚、卓上三脚でもいいかも)を持っていくことで、普通の旅行を一味違ったものに変えることができる。そしてポタ赤よりも軽くて小さくて安い!

星を見るためだけの遠征のときでも、役に立つことは変わらない。例えば赤道儀を立てて本格的に天体観望をしているとき、その横に適当に三脚を立ててしまえば、面倒な極軸合わせをする必要もなく星景・星野写真を撮ることができる。限られた時間を有効活用するという視点で言えば、この上ない武器になる。

私がカメラをPENTAX機に変えた理由の大きな部分を占めているのがこのアストロトレーサー機能であるから、早いうちにGPSユニットを買わなくてはと思っていた。そして今回ようやく購入に踏み切ったというわけだ。(この機能がなければPENTAXにしていなかったかもしれない)

O-GPS1のファーストライト/乙女高原遠征

caption

木星土星と天の川~さそり座周辺
PENTAX K-70, smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR
18mm, f/5.6, 120s, ISO-800, アストロトレーサー使用
2020.6.26, 乙女高原
DCU5で現像(1段増感、収差補正など)

梅雨時のある金曜日。仕事中、窓から外を見ると晴れ間が広がっていた。天気予報を確認すると、夜も晴れるようだ。帰宅後すぐにカーシェアリングを予約し、残り物のカレーを胃に放り込んでから出発の準備を急いで整えた。都道府県をまたぐ不要不急の移動は解禁されているから、誰にはばかることもなく堂々と出かけられる。カーシェアのナイトパックは480円という激安キャンペーン中。行かない選択肢は思い浮かばなかった。

天気予報を見る限り、西に行くほど条件が良くなるようだ。前半夜は低空に雲が出るようだから、標高は高い方が良さそうだ。普段なら富士山を目指すところだが、今はコロナ対策で五合目駐車場が閉鎖しているという情報もある。他の場所を探さなくてはならない。山梨方面で比較的近い場所というと……そうだ、名前は知っていたけど行ったことのなかった場所、乙女高原に行ってみよう。

 

現地は思っていたよりも高速ICから時間がかかってしまい、着いたのは23時ごろ。ちょうど雲海の上に出られたようで、光害の影響は少ない。久しぶりの遠征ということを加味しても、かなり条件の良い空だった。

今日の目的はO-GPS1の実践投入テスト。構図や露出条件を探っているうちに1,2時間は経ってしまっただろうか。金曜日で疲れがたまっていて、すでに結構眠気があるから、もう寝てしまおうか。星空を撮りながら双眼鏡で天の川周辺を眺めているだけで満足してしまった。不思議と、持ってきていた望遠鏡や赤道儀を出そうという気にはならなかった。

晴れていて月の出ていない夜で、しかも翌日が休日である日。長い距離を車で走らなければたどり着けない山奥。貴重な機会を無駄にはすまいと、せわしなく機材を展開するのが我々天文屋の行動様式。しかし、そのような状況――星空の下で、限りなく手軽な機材だけを持ち出し、あえてゆっくりと過ごすだけというのは、これはこれで贅沢で豊かで本質的な行為なのではないだろうか。

それがO-GPS1を購入したことによる精神的気づきだった。

 

テクニカルな話をしよう。具体的には以下のようなことが分かった。

  1. 広角レンズでは顕著に周辺部が流れる。これは原理上仕方ないことだが、程よい露光時間を探る必要がありそうだ。ソフトフィルターを使うと気にならないかもしれない。
  2. 車から離すなど電子コンパスの精度を出すための工夫が必要そうだ。必ずしも追尾がうまくいくわけではなかった。
  3. 撮影した画像に緯度経度高度が記録されるのはありがたい。これどこで撮ったんだっけ? ということが起こらないのはすばらしい。単純にGPSロガー電子コンパスとしても優秀。スマホの明るい画面を見なくて済む。
  4. (アストロトレーサーとは関係ないが)カメラのモニター上で見た印象と実際の露出では、後者の方がアンダーになる。ヒストグラムで露出を確認すべし。
  5. (アストロトレーサーとは関係ないが)Hα光の写りは悪くなさそうだ。干潟星雲(M8)、三裂星雲(M20)、オメガ星雲(M17)、わし星雲(M16)の存在が確認できる。

思っていたよりもあっさりと星を点像に止めて撮影することができて驚いた、と言うのが率直な感想だ。ポータブル赤道儀は持っていなかったから、今までは極軸を合わせてバランスを取って……という一連の作業が必要だったのが、簡単なキャリブレーション作業だけで済むようになってしまった。ライブビュー時の星の見やすさなども相まって、これまでのX-T10で困っていたことが一挙に解決してしまった。

今までの労力は何だったんだ? これだけ小さな機材で済むのなら、バイクや公共交通機関を使った移動も可能だろう。先に述べたように、ちょっとした旅行のついでに星景写真を撮れるようになる。惜しむらくは世間からの認知度が低いことだが……こればかりは仕方ない、たまにブログ記事を書いたりツイッターに投稿することで広めていくしかないだろう。

そしてもっと広角なレンズが欲しいなと思いつつ、じゃあどれにするのかという問題が湧き出てくるのだが……。